皆さん2010年に世界中で話題になったインドネシアの2歳児を覚えていますか。
この子の名前はアルディ君。パンツ一丁でおもちゃの車にまたがり「左手にハンドル、右手にたばこ」というスタイルで、時折、空を見上げて煙を吐き出す。またある時は、椅子に深く腰掛けて、火のついたたばこを落ち着きなく吹かしながら大笑いする。アルディ君がたばこを吸い始めたのは、なんと1歳半の頃だったそうです。それが1年とたたないうちに、1日数箱を消費する立派なチェーンスモーカーに成長したそうです。野菜等の販売を生業にしていた母親が息子を市場に連れて行った際、目を離した隙に、周囲の大人がアルディ君にたばこを教えたそうです。 大人が平然と赤ん坊にたばこを与えるという、日本ではおよそ信じられないインドネシアの喫煙事情にはビックリですね。
インドネシアは東南アジアのWHO加盟国で唯一、たばこの規制に関する条約に参加していない国で、事実上、規制がないに等しいのです。アルディ君が育ったのは、インドネシアの中でも決して裕福とはいえない地域。このような地方では、喫煙に対する問題意識がさらに低いこともままあります。特に未成年者の喫煙は社会問題にもなっていて、インドネシア国内の喫煙者数は世界2位で、13~15歳の喫煙者が26万7000人以上に及ぶという報道もありました。たばこの値段は上がっていますが、アルディ君の騒動後も、未成年の喫煙が減る気配はありません。例えば、首都・ジャカルタでは自転車で飲み物を売り歩く人たちがたくさんいますが、この人たちは同時にたばこの“バラ売り”もしている。インドネシアの学校は基本的に給食がなく、子どもたちはお金を持たされて学校周辺のお店で昼食を取る。その際に余ったお金でバラ売りのたばこを調達したりするのです。高校生になれば、学校内で堂々と喫煙している生徒も珍しくないそうです
喫煙無法地帯ともいえる環境により、1歳半にしてタバコの味を覚えてしまったアルディ君。映像が公開された直後、事態を重く見た政府の主導で、アルディ君は故郷を離れ、ジャカルタで「禁煙セラピー」を受けることになり。2回の厳しいリハビリを経て禁煙に成功したそうです。
以上今週の会長の時間でした。