今日は「ロータリーの友」12月号のスピーチを紹介したいと思います。タイトルは「わが社の震災復興への取り組み」で福島ヤクルト販売(株)の会長の方のIMでのスピーチです。
営業を担当している時にある会社と取引をしたいと思い、事前に奥様にプレゼントを届けました。うまくいったなと思って、社長に会いに行ったら最初に怒鳴られました。「お前、何なんだ」「ふざけんじゃないぞ」と1時間説教されました。「若い者がそういうテクニックを使って、弱みに付け込んだような営業をやるのは許せない。そういうものが一番悪い」とコテンコテンにやられました。それでも最後は契約してくれたそうですが、自分のやったことは「悪いな」と薄々は感じていたのですが、その時に教えられたということです。ずるいこと、不義ということにつながるようなことを行った時は長続きしないのだ、と。(私もこの設計は法に触れるかもかも知れないなと一瞬思った物件があったのですがまあいいかと受け、警察に捜索された経験がありますので、このことは良く分かります。)その後は自分自身は勿論ですが、社員にもテクニックを使わないような営業を教育し、マナーとエチケットを主体に、これで日本一になるような人づくりを実行しました。そうすると業績が上がったそうです。このエピソードは職業奉仕には高潔性が必要だということだと思います。
そして2011年の震災前のころまでには、全国の業界のトップレベルにまでなったそうです。震災後の復興に当たっては、内部留保金を使って「苦しくてもリストラしない」という方針を株主に理解してもらい、一切リストラをせず頑張ったという事です。2年位たつと業績が戻ってきました。役立ったのは福島地域では人出不足のなか、ヤクルトレディが戻ってきたからです。
更に、このスピーチのなかで、感動的な事が紹介されています。この会社の保育士は5人家族でしたが、4人が亡くなり、ご長男だけが難を逃れました。彼はショックで会話が一切出来ない状況になりました。そのうちその子の友達の祖父母が、孫の友達を引き取って「私が育てます」と申し出てくれたのです。その後も、その子は相変わらず全く話すことが出来ず、おじいちゃんは「当たり前と思ってやったが、何か悪いことをしたのではないか」と悩んでいました。何度か通ううちに、とうとうおじいちゃんが本当に喜んで、笑顔で「口をきいたのです。」と言われたのです。
その子は高校野球をやっていて、リサイクルショップの前でグローブとボールを買って欲しいと、震災後初めて口をきいたのです。自分が高校の時に一所懸命にやった野球を通して、もう一度、立ち直ろうという気持ちになったが、新品は高いので、リサイクルショップの安いものを買って欲しい、と言ったそうです。親戚でもない人が、自分も大変な状況のなか家族のように他人の面倒を見たり、子供がなるべく迷惑をかけないように安いもので良いと申し出たりと、この話からは色々なことを考えさせられます。
私たちは出来るかぎりの社会奉仕はやらなければいけないと思いました。