ロータリーの友10月号にロータリアンが導入したユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)の話が載っていました。ハードとしては既にある車椅子対応の車と変わらないのですが、ソフトの方がユニバーサル対応になっています。川崎市での取組ですが、市と協会が協議して、主要駅にUDタクシー対応乗り場を設置し、UDタクシーを優先して先頭につけるルールを作ったということです。これで空いている時に健常者にUDタクシーを優先的に利用してもらえる仕組みができ、採算に合うようになるということだと思います。このように障害者も健常者もともに利用できる設計(デザイン)というのは分かりやすいですが、ハード・ソフトにかかわらず、「文化・国籍・言語の違い、身体的能力の違い、老若男女の差を問わず利用できる施設・製品・情報の設計」をユニバーサルデザインと言います。
ユニバーサルデザインの例を挙げてみます。身近なものでは、計算機やパソコンのキーボードの5に突起がついています。5は有名ですが、FとJにもついています。飲み物の缶のプルトップの横にも突起がありお酒かジュースかを教えてくれます。お札には点字がついています。千円札は「あ」(1点)、5千円札は「い」(縦に2点)、1万円札は「う」(横に2点)です。それとヤマト運輸の不在票の形状もそうらしいです。宛先の位置の横に切り込みがあり、ヤマト運輸からの不在票というのがわかるようにしているということです。もちろんこれらは視覚障害者の為の工夫です。
建物では、最近階段の手すりに波型の手すり(クネット)が使われているのを見たことがあると思いますが、これは握力が弱い人に良いといわれています。また病院等で手摺が2段になっている施設があります。下の方の低い手摺はお子さんや車椅子の方用です。こういう配慮をしている病院を見るとそれだけで信頼できる病院と思ってしまいます。また洗面台の下に車イスが入るように空間を設けるのもユニバーサルデザインです。
街では低床式、特にノンステップバスがそうです。横断歩道で渡って良いことを知らせる音楽もそうです。そして代表的なユバーサルデザインは点字ブロックです。点字ブロックは色々決まりがあり、模様の面からは、縦の突起が進行方向を示し、丸の突起が止まって注意しろと分かるようになっています。また色も黄色と決まっています。弱視の方は黄色が分りやすいということからです。
そしてビックリするのは、この点字ブロックは日本人が発明したということです。彼は、白杖を持った視覚障害者が道を横切ろうとした際、クラクションを鳴らされその場にうずくまった光景に出合って、以後視覚の不自由な方が安全に歩行できる方法の開発に没頭したそうです。そして開発・普及に私財を費やし、やっと1970年になって東京都道路局からの発注により注目を集めました。ところが長年の苦労、心労により、1976年入院、1982年志半ばに帰らぬ人になりました。これこそ超我の奉仕(Service Above Self)と思いました。