ロータリーの「奉仕の理念」を自らの経営で実践することが、ロータリアンには求められます。範例となる日本人ロータリアンを松下幸之助さん(大阪ロータリークラブ) 1894-1989ご紹介します。
松下幸之助さんは、松下電器産業(現 パナソニック)の創業者で、大阪ロータリークラブの篤実な会員でもありました。松下さんの背広の襟には、いつも松下の社章とともにロータリーバッジが付けられていました。大阪ロータリークラブの例会にメイクした人が SAA をやっていた松下さんにゲスト席まで丁重に案内されて恐縮した、とか、別のある人がメイクしたときは、会場で席を探していたら、松下さんに手招きされて隣に座らされ、「君、松下君と呼んでくれたまえ」と言われて困った、とかのピソードが残されています。
松下さんが「奉仕」に目覚めたのは、昭和7年のことでした。ある宗教本部に見学に行ったとき、そこで生き生きと奉仕活動をする信者を見て、社会的使命のために働くことが幸福を導くことを悟ったのです。松下さんが 37 歳のときでした。後に松下さんはこの年を「命知元年」と呼んでいます。パナソニックの経営理念として、松下さんが昭和 4 年に掲げた「綱領」が載っています。
「パナソニック 綱領 、産業人タルノ本分ニ徹シ 社会生活ノ改善ト向上ヲ図リ世界文化ノ進展ニ 寄与センコトヲ期ス(昭和 4 年)」
松下さんが昭和 55年に書いた本の中で、「企業の社会的責任」とは何かを定義しています。『企業の社会的責任』とは、
これは、言わば松下幸之助さんの CSR 論ですが、ロータリーの職業奉仕理念そのものにも思えます。