12月のRI重点分野は「疾病予防と治療月間」です。地域社会の医療従事者の能力向上、伝染病の伝播を食い止め、非伝染病とそれによる合併症を減らすための、疾病予防プログラム, 地域社会の医療インフラの改善など、地域住民への教育と医療支援を強調する月間です。
私の所属する(一社)日本種苗協会では、職業奉仕活動の一環として15年程前から子供達を対象とした食育活動を行っています。健康は普段の食事との関わりが深く、その重要性は大きなものです。
近年、我が国の食生活は飽食と言われるほど豊かになりましたが、社会情勢や生活様式の変化に伴い、栄養バランスの偏りや過度の肥満・痩せすぎといった食に関わる諸問題が多く伝えられています。こうした食生活の変化は生活習慣病等の増加をまねき、国民の健康維持・増進のためには子供たちの食生活の改善が必要ととらえています。現在、その対策のひとつとして、関係府省が連携して「食育」を国民運動を推進中であり、民間においても、食品や農業に関わる様々な企業・団体が中心となって政府の方針に従い活発な活動を展開しています。これらの活動の多くは、食品に関する知識の習得や親子間のコミュニケーションの充実といった、主に食の消費面に焦点を当てた活動となっています。しかしながら、「食育」が本来目指すべきところである、食を選択する判断力の養成、食に対する感謝の心の醸成、地域固有の食文化の継承を達成するためには、食の消費面だけでなく、そのバックグラウンドとなる食の生産についても理解を深める必要性があり、真の意味での「食育(食を育む)」を推進するためには、まだまだ活動の余地が残されていると考えます。
そこで我々種苗協会は、本質的な「食育」を浸透させるため、会員となる種苗会社の特色を活かし食の生産そのものに焦点を当てた推進活動、食育推進プロジェクトを発足させました。全国の小学生を対象とし、子供たち自身が野菜を栽培・収穫・調理して食するというプログラムを実施することで、食を自ら育て、食べることの楽しみと喜びを伝え、食育の根底とも言える食と農業の繋がりを実体験してもらう事と、食品や生産農家に対する感謝の心を醸成し、ひいては国内農業や国産農産物の大切さという、食育にとって極めて重要な事柄を子供たちに伝えていくことに頑張っています。この活動も15年を過ぎ時代背景からの変化を求められることもあるかもしれませんが、未来を担う子供たちが食べ物への興味と、私達の職業にかかわる農業への興味を育む活動として、今後もこの食育プロジェクト活動に協力を続けていきます。