今日は、最近話題の豊洲市場の汚染土壌問題について私見を述べます。私自身は、土壌が汚染されていた敷地、およびバイオガスが発生する可能性のある敷地、そのような敷地への建設経験があります。その経験を踏まえての意見です。
この問題について、マスメディアの報道は、なぜ盛土を無くしたのか、盛土が無いと汚染土壌対策が不備であるという事に終始していますが、私は2つの疑問を持っていました。一つは、専門家会議提案の盛土案の図面を見た時に、揮発するガスを考えてなぜ床下に空間を設けなかったのか、二つ目は盛土を無くして今の地下空間を設けた方が建設コストは高いと思うのですが、なぜコスト的に高い案を採用したのか、です。
第一の疑問については、つい最近ある新聞社が報道した専門家会議の案の図面を見たのですが、その図面では1階の床を地面から1m上げて床下に空間を設ける案でした。そうでしょうねと思い第一の疑問は解消しました。
そして、その図面と現在の地下空間案を比べてみると、現在の地下空間案の方が優れているのではないかとすら思いました。汚染土壌対策法は、敷地内の汚染土壌の場所、厚さ、成分等を入念に調査して、汚染土壌対策をすることを求めています。従ってその調査をもとに、汚染土は搬出されているはずです。その後盛土をするかどうかは汚染土壌対策とはあまり関係ないと思います。地下空間案の方が、揮発するガスがあるとすれば、地下空間から建物内を通さず直接屋外に排出することが出来ます。また想定外の事、例えば他の敷地の有害物質が地下水を通じて自分の敷地に来ることも考えられます。その場合地下空間があればそれを利用して調査も出来るし、重機を入れて対策も可能です。機能的には現在の案の方が優れているのではないでしょうか。上司へ変更を報告していないというのは、汚染土壌とは別の問題です。汚染土壌対策としては不要と思う盛土の問題で、新豊洲市場の建物が使われないとしたらそれこそ税金の無駄使いだと思います。
どちらかといえば、二つ目の疑問、なぜコスト的に高い案を採用したのか、の方が根が深いと思います。最近建築施工のベテランの方と会話した時に、地下空間案の方が高いと思います、と言っていたのでまず高いと考えて間違いないと思います。この疑問については、マスメディアが言及していないのでわかりません。マスマディアにはそこにも注目してもらいたいと思います。