国際ロータリー会長 メッセージ

2026年国際協議会スピーチ全文

オラインカ・ハキーム・ババロラ

2026-2027年度 国際ロータリー会長


親愛なるロータリーの友人とファミリーの皆さま、おはようございます!

2026年国際協議会に皆さまを歓迎し、地区ガバナーエレクトとなられたことをお祝いできることを光栄に思います。

世界中からロータリーのシニアリーダー、スタッフ、そして卓越した会員が集結し、皆さまが来年に向けて準備を整えるお手伝いをいたします。また、この場を、ぜひ同期の仲間と交流を深める機会としてください。ロータリーの国際性を体験しなければ、会員としてのメリットを十分に享受しているとは言えません。今週、皆さまはロータリーの世界を体感することになります。

この機会を逃さないでください。たくさんの人と知り合い、友情を育みましょう。温かい言葉が、思いもよらないところへと皆さまを導くでしょう。

私が出会ったロータリー会員は、出身がどこであれ、親切で明るく、すぐに親友になれる人ばかりです。

私たちのもう一つの共通点は、ロータリーが私たちを変えたということです。私たちという人間を形づくり、より良い人間にしてくれたのです。変化はここから始まるのです——奉仕を受ける方々だけでなく、私たち自身の中からも。

私たちのビジョン声明を考えてみてください。

「私たちは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能な良い変化を生むために、人びとが手を取り合って行動する世界を目指しています」

私たちは「世界を変える」ことをよく話題にします。ポリオ根絶や平和構築について語ります。地域社会を変えることについて話します。そこには無数の素晴らしい実例があります。

しかし、私はこう問います。

「自分自身の中に持続可能な変化をどう生み出しているのだろうか」

ロータリー会員にこの質問をすると、たいてい場が静まり返ります。

その沈黙が物語るのは、ロータリーが自分自身をどう変えたかについて、私たちはあまり考えないということです。

ロータリーが、

  • どのように私たちのキャリアを変えているか
  • どのように私たちのビジネスを変えているか
  • どのように私たちの家族を変えているか

それは最も暗い時代における光にもなります。米国ノースカロライナ州のキャリーキルディア・ロータリークラブ会員、ティア・コッパスさんにとってもそうでした。

2021年、ティアさんの夫は、19カ月に及ぶ闘病の末、癌で亡くなりました。夫の介護とCOVID-19のパンデミックによる隔離生活により、ティアさんは19カ月間、ほとんど誰とも会っていませんでした。

そんな時、ティアさんが所属するロータリークラブの親友が電話をかけてきてこう言いました。

「来週木曜日の夕食会に来てください。あなたに会いたいんです」

緊張と不安の中、ティアさんはロータリーの夕食会に足を踏み入れました。しかし、席に着く間もなく、初めて会う新会員が彼女を抱きしめ、こう言ってくれました。

「来てくれて本当によかった!」

その瞬間、ティアさんは、自分が一人ではないこと、自分にはコミュニティがあることに気づきました。ロータリーこそ、彼女のコミュニティだったのです。

その夕食会の後、ティアさんはこの体験が自身に与えたインパクトについて、こうつづっています。

「ロータリーは、あなたが最も必要とする時に、静かに、愛情をもってそばにいてくれるのです。普段は自分が“与える”側にいたとしても、“受ける”側になってもいいんだと教えてくれるのです」

そしてこう続けます。

「ですから、つながりと奉仕、居場所を求めているなら、ロータリーがその答えとなるでしょう」

この言葉に共感できる方も多いと思います。

友人の皆さま、ロータリーは世界を変えるために活動していますが、ロータリーが自分自身をいかに変えたかを伝えることを恐れないでください。

経験から言えることですが、ロータリーは私を深く変えました。

私は十代でローターアクターとして活動を始めました。恵まれた環境で育ち、良い教育を受けましたが、そのような機会を得られない人は大勢いました。

気づきをもたらしたのは、クラブの識字プロジェクトでした。地域社会の人びとに読み書きを教える支援をしました。母国の同世代の人たちが読み書きのスキルを持たずに成長すべきではないと考えました。

このプロジェクトが私を変えました。その変化は、教育へのアクセスを拡大するという責任を伴うものでした。この取り組みは、今日において特に重要です。ユニセフの推計によると、教育資金の削減により、今年末までに世界で約600万人の子どもが退学を余儀なくされる可能性があります。この教育危機に対処するには、「寄付」から「奉仕」へと意識を変える必要があります。

南アフリカのナイズナに素晴らしい事例があります。そこでは、ロータリークラブが教育分野で持続可能なインパクトを生み出しています。ナイズナ・ロータリークラブは2019年、地域のパートナーと協力し、2025年までに地域のすべての子どもが質の高い幼児教育を受けられるようにする方法を模索しました。地域社会からの協力も得て、問題の理解に努め、行動を起こしました。

その結果生まれたプロジェクトは、恵まれない地域の女性たちの力を解き放ち、幼児教育センターの開設と運営を実現させました。今日、このプロジェクトは何千もの子どもと家族を支援しています。今後も何世代にもわたり、教育を提供し続けるでしょう。

このインパクトを世界のほかの地域でも再現できれば、地域社会から信頼と評価を得ることができます。

そして、より多くの地域社会がロータリーを信頼すれば、入会したいという人が増えます。しかし、まずはそのような人びとを受け入れなければなりません。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これは私たちが長年苦労している課題です。若きローターアクターとしてロータリーに入会しようとした時、私は抵抗に遭いました。

ある日、私はクラブの昼食例会に行きました。以前にも招待を受けて参加したことがありました。

若いローターアクターだった私を見て、そのクラブの会長は言いました。

「ここで何をしているんだ?」

ロータリーに入会するためだと、私は答えました。会場にいた全員が振り向き、私を見ました。

彼はこう言いました。

「何という厚かましさだ!ただ入会できるわけがないだろう。招待が必要だ」

そこであきらめることもできましたが、私はこう言い返しました。

「子どもが親の家に入るのに招待が必要だとは知りませんでした」

会場が沈黙に包まれる中、ソジ・フォウォデさんというロータリアンがこう声を上げました。

「インカ、私が君を推薦するよ」

こうして私はロータリアンになったのです。

しかし、もしソジさんが声を上げてくれなかったら?

私が会員になることはなく、今日こうして皆さまの前に立つこともなかったでしょう。

当時よりは良くなりましたが、一部のクラブは、世界をオープンに受け入れるどころか、今も閉ざされたままです。

若い人の意見が尊重されなかったり、考えや背景が異なる人が歓迎されなかったりすることがあります。このような状況では、入会する見込みのある人びとを入会前に失ってしまうことになるのです。

ロータリーにはもっと多くの会員が必要です。理事会は、2030年までにロータリアンを125万人、ローターアクターを12万5千人にするという会員増強目標を掲げています。この目標の達成は、私たち全員から始まります。

ですから、この国際協議会の開幕にあたり、皆さまには、人びとをどのように迎え入れるかを考えていただきたいと思います。例会や奉仕プロジェクトでの皆さまの態度ひとつで、誰かのロータリーのストーリーが始まるかもしれないし、終わるかもしれないのです。

これが、私たちが目標を達成する方法です。皆さまが地区の目標達成を導けば、ロータリー全体の目標に達成できます。しかし、地区の目標が何であれ、特に会員増強については、ご自分のベストを超えていただきたいと思います。

従来、最も多くの資金を集め、最も多くの会員を集め、最も大規模なプロジェクトを実施するクラブが称賛されてきました。

これは重要なことです。ただし、最も健全な競争は、クラブ間ではなく、過去と現在との間であるべきです。

過去5年~7年を振り返っていただくよう、それぞれの地区とクラブにお願いします。

会員増加で最高を記録した年度はいつでしたか?

ファンドレイジングで最高を記録した年度はいつでしたか?

最も大きなインパクトをもたらしたプロジェクトは何でしたか。

それらの年度がわかったら、その最高記録を超えていただきたいのです。

皆さまは、人生のうち1年間を地区ガバナーとして過ごします。皆さまがリーダーを務めるこの1年を振り返った時、人びとにどのような年度であったと言ってもらいたいですか?

人びとがいかに多くのことを覚えているかに驚くでしょう。

最高だった年度の入会者が10名だったなら、少なくとも11名を目指すべきです。数年前に5万ドルを募金したなら、次年度は5万5千ドルを目指してみてください。ほかよりも優れていることを証明するためではなく、自分たちが最高の形になるためです。

こんな格言があります。

「グッド」から「ベター」、そして「ベスト」へ。
歩みを止めてはならない。
「グッド」が「ベター」になり、
「ベター」が「ベスト」になるまでは。

この考え方は、クラブや地区に当てはまるのと同様、私たち自身にも当てはまります。「変化」と「インパクト」を常に意識するマインドセットが必要です。

「変化」と「インパクト」は同じではないということを覚えておくことが大切です。変化は始まりに過ぎません。インパクトこそが永続するのです。

ロータリーの大規模プログラム補助金による「健康な家族のための協力」が数年間実施されているナイジェリアでの事例を紹介します。

プログラム開始から間もない頃、私は試験的都市にある保健センターを訪問しました。自分の目で見たかったのです。

主任医師は、私がロータリー会員であるということだけ知っていました。

彼は私を温かく迎え、約18カ月前からロータリーと協力していること、協力の開始後間もなく乳児死亡率と妊産婦死亡率が急激に低下したことを話してくれました。

ロータリーが介入する前は、多くの女性が妊婦健診を避けていました。しかし、健診は母子ともに安全な出産に欠かせません。ロータリーの支援により、妊婦が健診に通うシステムが整い、地域社会からの協力も得られました。受診率がアップし、死亡率が下がりました。

医師と話した後、私は、このプロジェクトが今後数十年にわたりナイジェリア全土で命を救い続けるであろうことを、はっきりと見ることができました。これこそが、私が「持続可能なインパクト」と呼ぶものです。

ロータリー会員である私たちは、より良い未来というビジョンを共有しています。それは、ポリオのない世界、平和な世界、誰もが質の高い教育を受けられる世界です。

そのビジョンを現実にするには、自身の内なる変化を意識し、解き放たなければなりません。「成果」だけでなく、「インパクト」を重視すべきです。

ティアさんがロータリークラブの夕食に招待されたことの「成果」は、彼女が孤独を感じなくなったことです。しかし、その「インパクト」は、彼女とクラブの仲間が生涯にわたって希望とコミュニティ意識を持ち続けることです。

ナイジェリアでの「健康な家族のための協力」の「成果」は、乳児と妊産婦死亡率の低下です。しかし、その「インパクト」は、今日だけでなく、世代を超えてずっと、子どもたちが母親の愛情と導きのもとで育つということです。

私たちは、2030年の会員増強目標を必ずや達成します。その達成による「成果」は、世界のロータリー会員が増えることであり、ロータリーがある場所では良いことが起こることを私たちは知っています。その「インパクト」は、今後も長年にわたり、より強くて効果的なロータリーが築かれることです。

友人の皆さま、その未来は私たちから始まります。しかし、それは私たちのロータリーでの活動が終わった後もずっと続かなければなりません。この理由により、2026-27年度の会長メッセージは「持続可能なインパクトを生み出そう」です。

持続可能なインパクトを生み出す方法は数多くあります。世界的には、ポリオ根絶という約束を果たすこと、そしてロータリー平和センターの恩恵を最大限に活かすことを意味します。

クラブと地区では、より多くの人を迎え入れ、2030年会員増強目標の達成に向けて役目を果たすことを意味します。

そして皆さまは、人びとが好奇心を持ち、問いかけをし、ロータリーファミリーに与えられた無限の可能性を受け入れて自分自身の中に持続可能なインパクトを生み出せるよう、インスピレーションを与えることができます。

結果を出し、自分の中に持続可能なインパクトを生み出すことへの意欲をクラブと会員にどう喚起できるかを考えてください。

進歩は自ずと起きるものではありません。それ自身の内なる変化から始まります。

親愛なる地区ガバナーエレクトの皆さま、成功とは向こうからやって来るものではありません。自分でつかみに行かなければならないのです。

自分を変えられれば、クラブと地区を変えられます。地区を変えられれば、地域社会を変えられます。そして、地域社会を変えられれば、世界で、地域社会で、自分自身の中で、持続可能なインパクトを生み出すことができるのです。

朋友の皆さま、ありがとうございます。

国際協議会へようこそ。


(2026年1月12日 国際協議会スピーチ全文)


Profile

オラインカ・ハキーム・ババロラ

2026-2027年度 国際ロータリー会長
トランス・アマディ・ロータリークラブ
ナイジェリア・リバーズ州

1988年に大学で工学の学位を取得。シェルPLCで要職を歴任するなど、石油・ガス業界で25年間勤務し、4大陸でプロジェクトを実施。

リビエラ・テクニカル・サービス社(石油・ガスインフラ供給会社)と、リード・アンド・チェンジ・コンサルティング社(管理職コーチングと組織業績アドバイザーグループ)の2社を設立。

ババロラ氏が所属する専門職団体には、ナイジェリア技術者協会、ナイジェリア安全専門家協会、変革管理専門家協会などがある。

経済・社会政策について政府に意見を提供する、故郷イバダン市の組織「ジェリコ・ビジネスメン・クラブ」のメンバーとなっている。

ローターアクターとして10年間活動し、1994年からはトランス・アマディ・ロータリークラブの会員。

2011-12年度に地区ガバナー、2018-20年度にRI理事、2019-20年度に副会長を務めた。

2017-23年度にEnd Polio Now:歴史をつくるカウントダウンキャンペーン委員会、2017-20年度に同副委員長、2013年から現在はナイジェリア・ポリオプラス委員会、2016年から現在は同アドバイザーでの役職を歴任。

妻プレバさんと共にポート・ハーコート市に在住。

冠名基金とアーチ・クランフ・ソサエティを通じてロータリー財団を支援。シェルターボックスUKの評議員としてボランティア活動も行っている。

ポリオのない世界のための地域奉仕賞、RI超我の奉仕賞、ロータリー財団功労表彰状を受賞。