今回は相続税の一つの側面で、相続時に相続人がいない現状の話です。
皆さんご存じのように、少子高齢化や婚姻数の減少が進んでおり、相続人がいないまま、相続を迎える人が増えています。2020年の婚姻数は52万件で、ピーク時には100万件あった時と比べると半減しています。この現状では法定相続人がいない「おひとりさま相続」が毎年増えています。相続時に相続人がいないい場合は、相続財産は国庫に入ります。2021年に相続人不在で国庫に入った相続財産は647億円で過去最高です。20年前は107億円で、20年で6倍に増えています。弊社で相続税の申告をした事例でも、親や子がいなく、かろうじて兄弟に相続、または甥や姪に相続された事例は結構あります。
相続人がいない場合でも、被相続人と生計を一緒にしていた人や介護・看病をしていた人など「特別縁故者」であれば受け取れます。代表的なのは内縁の妻や夫で、裁判所に特別縁故者と認められれば財産を受けと取ることが可能です。被相続人が生前に長く過ごした養護施設などが受け取る事例も出てきています。
生前の対策としては、遺言書の作成、家族信託、養子縁組などで財産の引き受け手を事前に決めておくことも出来ます。